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夢家族 その三 

その三

智子が言う仕事とは、政府が試験的に始めた仮想の家族のホステスだ。
少子化、晩婚、核家族化、共働き等、実際の社会のシステムが加速度的に
それぞれを孤立、細分化させていく現状の中、社会の将来性に
危機感を感じた現政府が試験的に試みている、いわば実験中の
バーチャルファミリーとでも言えばいいだろうか、実際の家族には
程遠いが、PCのウェブチャットを通して家族的な会話をしている
だけの段階だ。
智子はさまざまな試験を乗り越えてそのホステスに選ばれた
このシステムは結構複雑で詳細な説明をいくらか省くが
智子のようなホステスやホストの上にマネージャーがいる
マネージャーから智子たちにクライアントにどういう風に接すればいいか
大雑把な指示がでるが、その支持を検討しているのは
マネージャーと常にチームを組んでいる専門家の検討によるものだ
クライアントもその専門家に選ばれた人間でないと今の実験段階では
参加することは出来ない。
智子のクライアントは、今出てきた春子おばあちゃん、昭雄おとうさん
と康子かあさん、あと年齢的に言ってどうしても多くなってしまうのが
一人っ子で育っている小さな男の子、弟が4人いる。
ちなみに全てのやり取りはその専門家に監視されているし
彼女の時給は920円だ。

つづいてやるっくそっ!

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夢家族 その二 

その二
お風呂上りに牛乳を手に取り、PCの前に落ち着きスイッチをいれると
母が仕事を終えて帰ってきた。弟が母を出迎える。
「ただいまあ」玄関で重いスーパーの袋をいったん下ろし一息つく母
「お姉ちゃん仕事始めるから入るなってさ」弟の正が出迎えて
スーパーの袋を台所へと運ぶ。
智子の部屋のドアを一瞥して母も台所へと向かい夕飯の支度を始める

「おばあちゃん、元気だった?」智子はPCに向かって語りかけた
モニターには白髪も薄く皺が深い老婆が、映し出されている
「元気元気、今日もパートに行って、さっき帰ってきたばっかりだよ」
「そう、いいじゃんいいじゃん、私も夏休みが始まったし
 いつもよりたくさん話せるよ!」
そういって牛乳を片手に一口飲んだ、また口の周りが白くなっている
「ともちゃん、くちが白くなってるよ、口だけ白熊だよ」
「へへへ」智子は口を拭ってモニターで確認した

智子には本当の家族とは別に仮想の家族がいた
この春子おばあちゃんもその一人だ、事故で子供を亡くしてお爺さん
と二人きりなってしまったのが数十年前、お爺さんもたまに
はなしに混じってくるけど、大概おばあちゃん一人
智子のおばあちゃんは小さいときに死んでしまっていないので
だんだん春子おばあちゃんが本当のおばあちゃんのような気がするが
これが智子の仕事、バーチャル家族での役割なのだ、そう言い聞かせる。
仕事だけど智子は、バーチャル家族のみんなが本当に好きだし
一緒に話していると、本当の家族のような気になってくる
不思議な感じだった。
つづく

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夏休み特別企画 書きなぐり連載 

「夢家族」
夏休みに入って、やっと満足いく仕事が出来ると、智子は張りきっていた。
成績が下がるとその仕事も、母に取り上げられてしまう約束なので
勉強もまじめにしているし、クラブも演劇部に所属して日々充実している
母と弟と智子だけの三人家族で、郊外のマンションに住んでいる
智子が目を覚ましたとき、母はすでに仕事へ出かけた後だった
彼女の母は、小さな雑貨屋を街角で営んでいた、先代の祖母から
続くかわいらしい小物や家具を扱うお店で、固定客も多く、最近では
インターネットでの販売も好調で、そこそこの収入を得ている

今日は部活も休みなので、10時過ぎに目を覚まし冷蔵庫へと向かう
そして冷蔵庫の牛乳を一気飲みし「げふっ」そのあと「ぷはーっ」
台所のとなりの居間から、ゲーム三昧の弟がいう、「かあさんいないよ」
智子が返す「仕事でしょ」、口の周りの産毛が白く染まっていた。
そして再び自分の部屋へ取って返す、牛乳と食パン2枚を手に持って。

仕事が始まるのは早くても、たいがい夕方からだった
夏休み初日から宿題をするのも、つまらないと思った彼女は
まずはベッドに再び寝転がり、夏休み中に演劇部で完成させる予定の
お芝居「レミゼラブル」の台本を手に取り、声を出して読み始めた。

つづく

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